【登辞林】(登記関連用語集)


[た]

諾成契約 当事者の合意のみで成立する契約。民法は諾成契約を原則としており、一定の場合に効力を生じる要件を定める。通常、あらゆる契約において、契約書を作成することが多いが、契約書を作成するのは、後日の紛争防止、証拠のためであり、契約は、口頭で約することにより有効に成立する。また、通常、契約書を作成しない日用品の売買も契約である。(→要物契約

宅地 (1)宅地建物取引業法(昭和27年6月10日法律第176号)上、建物の敷地に供せられる、都市計画法(昭和43年6月15日法律第100号)第8条第1項第1号の用途地域内のその他の土地で、道路、公園、河川、広場・水路の用に供せられているもの以外のものを含む。不動産登記の宅地の概念より広い。
(2)不動産登記規則第99条に規定されるの土地の地目のひとつで、建物の敷地及びその維持もしくは効用を果たすために必要な土地(不動産登記事務取扱手続準則第68条)。
以下に掲げるものは、不動産登記上、宅地に該当する(同準則第69条)。
1.海産物を乾燥する場所の区域内に永久的設備と認められる建物がある場合の敷地の区域に属する部分
2.耕作地の区域内にある農具小屋等の敷地で、その建物が永久的設備と認められる場合
3.遊園地、運動場、ゴルフ場、飛行場において、建物の利用を主とする建物敷地以外の部分が建物に附随する庭園に過ぎないと認められる場合
4.競馬場内の事務所、観覧席、厩舎等永久的設備と認められる建物の敷地及びその附属する土地
5.テニスコート又はプールで宅地に接続するもの(宅地に接続しないものは雑種地となる。)
6.ガスタンク敷地又は石油タンク敷地
7.工場又は営業場に接続する物干場又はさらし場
8.火葬場について、その構内に建物の設備があるとき(建物の設備がないときは雑種地)
9.陶器かまどの設けられた土地で永久的設備と認められる雨覆いがあるとき(その設備がないときは、雑種地となる。)
(3)土地区画整理法(昭和29年5月20日法律第119号)上、公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地(土地区画整理法第2条第6項)。

宅地建物取引業 

宅地建物取引主任者

諾約者 第三者のためにする契約において、契約の相手方でなく、第三者に対して給付をする義務を負う者。売主A、買主B間の売買契約において、売主Aが売買の目的物を第三者Cに給付すべき場合の、売主A。(→要約者)(→受益者

他主占有 賃借人、質権者、寄託を受けた者の占有等、所有の意思のない占有。他主占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思を表示し、または、新たな権原により所有の意思をもって占有を開始した場合は、自主占有への転換(占有の性質の変更)が認められる(民法第185条)。(→代理占有)(→自己占有

タックスアンサー 国税庁ホームページ内にある税金に関する事例集

タックス・ヘイブン(Tax Haven) 租税回避地。法人税や所得税などの税率がきわめて低いか、全部又は一部が免除されている国や地域。(→ケイマンSPC)(→慈善信託)(→オフショア

建物 屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるもの(不動産登記規則第111条)。民法上、土地の定着物は、不動産とする(民法第86条第1項)とされているが、不動産登記上、土地の定着物全てが建物と取り扱われるわけではない。建物は、土地上の工作物であるが、土地からは独立した不動産と扱われる。建物に該当しない工作物は、民法上、動産と扱われる(民法第86条第2項)。一棟の建物を一個の建物として登記するのが原則だが、効用上一体として利用される状態にある数棟の建物を1個の建物として登記することが出来る(不動産登記事務取扱手続準則第78条)。
次のものは建物として取り扱われる(同準則第77条(1))。
1.停車場の乗降場又は荷物積卸場で、上屋を有する部分
2.野球場又は競馬場の観覧席で屋根を有する部分
3.ガード下を利用して築造した店舗・倉庫等
4.地下駐車場又は地下街の建造物
5.園芸又は農耕用の温床施設で、半永久的な建造物と認められるもの。
次のものは建物として取り扱われない(同準則77条(2))。
1.ガスタンク、石油タンク、給水タンク
2.機械上に建設した建造物
3.浮船を利用したもので、固定されていないもの
4.アーケード付街路
5.運搬の容易な切符売場。
建物として登記されるためには、必ずしも完成していることを要せず、屋根・周壁を有し、土地に定着した1個の建造物であれば足りる。セメント貯蔵用サイロ、飼料貯蔵用サイロは、建物として取り扱われる(昭和37年6月12日民事甲第1487号民事局長回答、昭和43年2月23日民事三発第140号民事局第三課長回答、昭和35年4月15日民事甲第928号民事局長回答)。プレハブの建物でも建物と認定される場合がある(昭和55年11月18日民三第6712号民事局第三課長回答)。
建築基準法(昭和25年5月24日法律第201号)では、「建築物」とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの、これに附属する門、塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設をいい、建築設備を含むものとする、と規定している。(→区分建物)(→附属建物

建物譲渡特約付借地権 借地権を設定する場合に、借地権を消滅させるため、その設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を土地の所有者に相当の対価をもって譲渡する旨を特約したもの(借地借家法第24条)

建物図面 建物の敷地と建物の1階(区分建物にあってはその地上の最低階)の位置と形状を明らかにする図面で、1個の建物(附属建物があるときは、主たる建物と附属建物を合わせて1個の建物とされる)ごとに作成される(不動産登記令第2条第5号、不動産登記規則第81条、第82条第1項)。建物の表題登記、合体の登記、表題部の変更・更正の登記、建物の分割・合併の登記などの申請をする際に、申請情報と併せて登記所に提供される(不動産登記令別表第12項、第13項、第14項、第16項)。建物図面は、不動産登記規則別記第二号の様式により、日本工業規格B列4番の丈夫な用紙を用いて作成することを要し、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、その作成者が署名又は記名押印しなければならない(不動産登記規則第74条第2項、第3項)。誰でも手数料を納付して、写しの交付、閲覧を請求することができる(不動産登記法第121条第1項、第2項、不動産登記令21条1項)。不動産登記法に建物図面の規定がされたのが、昭和35年の改正(昭和35年3月31日法律第14号)時であることから、それより前のものについては、建物図面は存在しない。

建物の区分所有等に関する法律 昭和37年4月4日法律第69号。一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所等の建物としての用途に供することができるもの(区分建物)がある場合において、各区分建物の所有者の権利関係や管理に関して規定した法律。区分所有権専有部分共用部分敷地利用権、規約及び集会、管理組合法人等について規定されている。

建物の名称 建物を特定するために所有者が適宜に決めた名称。建物の名称がある場合は、建物の表示に関する登記の登記事項(不動産登記法第44条第1項4号、8号)となっている。区分建物にあっては一棟の建物の名称(マンション名など)と専有部分の建物の名称(部屋番号など)が登記でき、区分建物以外の建物でも○○荘、○○ビルなどの建物の名称を登記できる。いったん登記した名称の変更も自由に行えるが、その場合は、変更登記の申請義務が発生する。

建物保護ニ関スル法律 明治42年5月1日法律第40号。建物の所有を目的とする地上権者又は土地の賃借権者がその有する建物について登記を備えた時は、当該地上権又は賃借権について登記がなくても第三者に対抗できるとする規定がされた法律。借地借家法(平成3年10月4日法律第90号、平成4年8月1日施行)に統合、廃止されたが、廃止後もなお、この法律が適用される場合がある(借地借家法附則参照)。

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