【登辞林】(登記関連用語集)


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持参債務 弁済の提供を、債務者が債権者の現在の住所において行う債務。弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しを目的とする債務以外の債務は持参債務となる(民法第484条)。(→取立債務)(→特定物債権)(→種類債権

資産担保証券 金銭債権や不動産などの資産価値を裏づけとして発行される有価証券。原保有者(オリジネーター)から、SPC(特定目的会社)に資産を譲渡し、その資産を担保にして証券を発行することにより、資産の原保有者の信用力から資産価値を切り離して捉えることができるため、信用力の低い企業でも発行することができる。ABS

時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙 会社又は外国会社が、公告を掲載するものとして定めることができる新聞紙(会社法第939条第1項第2号)。業界紙、特定分野の専門紙は認められず、また週刊紙、月刊紙等も認められない。日曜日を休刊日とする地方新聞は認められる(昭和36年12月18日民事四発第242号民事局第四課長回答)。英字新聞紙(ニューヨークタイムズ)を唯一の公告掲載紙とする株式会社の設立登記は受理されない(登記研究493号136頁)。公告掲載紙を日本経済新聞と定めている例が多く、読売新聞、朝日新聞等の全国紙、その他地方紙を公告掲載紙と定めている例もある。

自主占有 所有の意思のある占有。正当な権限があることは要件とされず、所有の意思があれば、売買等により開始したものの他、窃盗により開始したものでも自主占有は成立する。占有は所有の意思がある(自主占有である)と推定される(民法第186条第1項)。自主占有は、所有権の取得時効成立の要件となる(民法第162条)。(→他主占有

事前求償権 保証人が、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときに、主たる債務者に対して、あらかじめ行使することができる求償権民法第460条)。
1.主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき。
2.債務が弁済期にあるとき。(保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができず、保証人は、保証契約締結時点での弁済期を基準に求償権を行使できる。)
3.債務の弁済期が不確定で、かつ、その最長期をも確定することができない場合において、保証契約の後10年を経過したとき。
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたときも、事前求償権を行使することができる(民法第459条第1項)。(→事後求償権)(→保証委託契約

自然人 人。法律用語で、「法人」に対して、生きた人間、個人を指す言葉。自然人は、出生によって権利能力を有する(民法第3条第1項)。

慈善信託 SPCの全株式を信託会社に譲渡し、信託会社は信託宣言を行い株式を信託保有して、信託契約満了時には会社の残余財産を慈善団体に寄付することを約する英米法特有の制度。信託宣言により信託会社は委託者及び受託者となるため、SPCの出資者やSPCに財産を譲渡した者からSPCを独立させることができ、倒産隔離を図るために利用される。チャリタブル・トラスト。

四則演算 加算(+)、減算(-)、乗算(×)、除算(÷)の4つの算術。コンピュータにおける計算式では、乗算は、[*]、除算は、[/]で表される。

示談 民事上の紛争を裁判手続きによらず、当事者の話し合いで解決すること。特に交通事故において利用されることが多いが、その法的性質は、民法上の和解民法695条)、もしくはこれに類似する無名契約であると考えられている。
交通事故の示談の後、予期しない後遺症の損害が発生したときに、判例は、被害者は、改めて、損害賠償を請求できるとしている。(→裁判上の和解

質権 債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利(民法第342条)。質権は、付従性随伴性不可分性物上代位性を有する。質権は、動産、不動産、その他の財産権を目的とすることができるが、譲渡することができない物を目的とすることはできない(民法343条)。譲渡することができない物とは、法律上、譲渡が禁止もしくは制限されているものであり、麻薬(麻薬及び向精神薬取締法第12条)や、登記された船舶商法第850条)などがある。質権は、債権者に目的物を引き渡すことで成立する要物契約である(民法第344条)。この引渡しに占有改定は含まれず、質権者は、質権設定者に、自己に代わって質権の目的物を占有させることはできない(民法第345条)。(→動産質)(→不動産質権)(→権利質)(→債権質)(→転質

質権設定登記 動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律に基づき、法人が有する金銭債権の質権の設定を登記することにより、第三者対抗要件を備えることを可能とする制度。質権設定者は法人に限られるが、質権者は法人でなくとも良い。民法上、第三者に対する質権設定の対抗要件として、質権設定者から債務者への確定日付ある証書による通知若しくは債務者の承諾が必要とされているが、その特則にあたる。これにより、大量の債権に一括して質権設定することが容易となり、企業の資金調達の一手段として用いられる。但し、債務者への対抗要件を備えるためには、登記事項証明書を交付してする通知、又は、債務者の承諾が必要となる。通知は、質権者からすることも可能。取扱法務局は、東京法務局民事行政部債権登録課のみで、全国の質権設定登記を取り扱う。

質屋 物品を担保に金銭を貸し付ける者、又は、店。質屋営業法(昭和25年5月8日法律第158号)においては、質屋営業を営む者で、営業所の所在地を管轄する都道府県の公安委員会の許可を受けた者とされている(質屋営業法第1条第2項、第2条第1項)。

質屋営業 質屋営業法(昭和25年5月8日法律第158号)上、物品を質に取り、流質期限までに当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質物をもつてその弁済に充てる旨を約して、金銭を貸し付ける営業(質屋営業法第1条第1項)。

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