【登辞林】(登記関連用語集)


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農業委員会 市町村におかれる行政委員会で、自作農の創設及び維持、農地等の利用関係の調整、農地の交換分合その他農地に関する事務を執行する(地方自治法第202条の2第4項)。ひとつの市町村にひとつの農業委員会を置くのを原則とするが、一定の場合には、複数置くこととし、又は、置かないとすることができる(農業委員会に関する法律(昭和26年3月31日法律第88号)第3条)。

農業協同組合 農業協同組合法(昭和22年11月19日法律第132号)に基づき設立される農家の共同組織体で、法人格を有する(農業協同組合法第5条)。組合員のための農業の経営及び技術の向上に関する指導、組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け、組合員の貯金又は定期積金の受入れ、等の事業を行う(農業協同組合法第10条)。
組合員となる資格を有するのは、農業者、当該農業協同組合の地区内に住所を有する者で、当該農業協同組合の施設を利用することを相当とする者等で、定款で定める者である(農業協同組合法第12条第1項)。
農業協同組合を設立するには、定款を作成し、行政庁の認可を得ることを要し(農業協同組合法第57条、第59条第1項)、主たる事務所の所在地において、設立の登記をすることによって成立する(農業協同組合法第63条第1項)。
略称「農協」、愛称「JA」。

農業協同組合連合会 農業協同組合等により構成される組織体で、法人格を有する(農業協同組合法第5条、第12条第2項)。

農業生産法人 農事組合法人、公開会社でない株式会社、持分会社であって、その法人の主たる事業が農業であること等、一定の条件を満たしたもの(農地法2条7項)。農業生産法人以外の法人は、原則として、農地に関する権利の取得につき、制限を受ける(農地法第3条第2項第2号の2)。

農事組合法人 農業協同組合法(昭和22年11月19日法律第132号)に基づき、農民、農業協同組合等を組合員とし、その組合員の農業生産についての協業を図ることによりその共同の利益を増進することを目的として設立される法人(農業協同組合法第72条の3、第72条の5、第72条の10)。

農地 耕作(土地に労資を加え、肥培管理を行って作物を栽培すること)の目的に供される土地(農地法第2条第1項)。農地にに該当するか否かは客観的な現況により判断され、土地所有者の主観や登記簿の地目により判断されるものではない。
農地について所有権を移転し、又は、地上権賃借権その他使用及び収益を目的とする権利を設定もしくは移転する場合には、一定の場合を除き、農業委員会または都道府県知事の許可を受けなければならない(農地法第3条第1項)。これらの許可を受けなければならない場合に許可を受けないでした行為は、その効力を生じない(農地法第3条第4項)。
農地を農地以外のものにしようとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければならない(農地法第4条第1項)。
農地を農地以外のものにするため、使用収益をする権利を設定し、又は、移転する場合には、一定の場合を除き、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければならない(農地法第5条第1項)。これらの許可を受けなければならない場合に許可を受けないでした行為は、その効力を生じない(農地法第5条第3項、第3条第4項)。

登記簿上の地目が原野、現況及び課税地目が畑である土地について所有権移転登記を申請する場合には、地目変更登記をした上、農地法3条又は5条の許可書を添付してするのが相当である(登記研究450号128頁)。
登記簿上の地目が「牧場」となっている土地について、売買による所有権移転登記を申請するには、農地法に基づく許可書又は非農地証明書の添付を要する(登記研究419号88頁)。
農地の所有権移転登記手続を命ずる判決を添付して所有権移転登記を申請するにあたり、判決主文又はその理由中に農地法の許可を得ていることが明らかでない場合は、農地法の許可書の添付を要する(登記研究586号189頁)。
信託による農地の所有権移転についても、農地法3条の許可を要する(昭和29年12月23日民事甲第2727号民事局長通達)。
相続人を受遺者とする農地の特定遺贈による所有権移転登記の申請書には、農地法の許可書の添付を要する(昭和52年12月27日民三第6278号民事局第三課長回答)。農地を遺贈する旨の遺言書に基づく遺贈は、特定遺贈と解され、遺贈による所有権移転登記の申請書には、農地法の許可書の添付を要する(登記研究441号115頁)。
農地につき、遺贈を原因として所有権移転登記を申請する場合、遺言の内容から包括遺贈と判断できるときは、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究450号128頁)。
共有農地について、共有物分割による持分移転の登記申請書には、農地法の許可書の添付を要する(昭和41年11月1日民事甲第2979号民事局長回答)。
共有農地の持分放棄による持分移転の登記申請書には、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究401号159頁)。
農地について、共同申請により財産分与による所有権移転登記を申請するには、農地法の許可書の添付を要する(登記研究523号138頁)
農地につき、移転の事由を「売買」とした知事の許可書を添付して、「贈与」を原因とする所有権移転登記の申請はすることができない(昭和40年12月17日民事甲第3433号民事局長回答)
農地の時効取得による所有権移転登記の申請書には、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究275号75頁、294号73頁)。この場合、虚偽の時効取得による登記を防止するため、登記官において、その旨を農業委員会に通知するものとされる(登記研究379号92頁、昭和52年8月22日民三第4239号民事局第三課長依命通知)。
共同相続の登記が経由されている農地について、遺産分割を原因とする所有権移転登記を申請するには、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究407号84頁)。
農地について遺贈による所有権移転の登記がされた後、相続人からの遺留分減殺による所有権移転の登記については、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究233号72頁)。
農地法5条の許可を得て取得した共有農地について、持分の更正登記を申請するには、同法同条の許可書の添付を要しない(登記研究360号91頁)。
法人格のない社団(権利能力のない社団)が所有する農地について、その代表者の変更に伴い、「委任の終了」を原因として、所有権移転登記を申請するには、農地法の許可書の添付を要しない(昭和58年5月11日民三代2983号民事局第三課長回答、登記研究435号116頁)。)
民法958条の3の規定により、特別縁故者に分与された農地について所有権移転登記を申請するには、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究520号198頁)。
「平成○○年4月1日売買」を原因とし、農地法の許可を条件とする所有権移転仮登記がされている農地について、「平成○○年5月1日地目変更」を原因として、宅地への地目変更登記がなされた場合には、農地法の許可書を添付することなく、「平成○○年5月1日売買」を原因として、本登記の申請をすることができる(登記研究575号121頁)。
登記簿上の地目が「」である土地につき、会社分割を原因として所有権移転登記を申請するには、農地法の許可書の添付を要しない(登記研究648号197頁)。
農地の売買につき、売主の死亡後に農地法の許可があった場合は、売買による所有権移転登記の前提として、売主の相続登記を要する(登記研究183号73頁、昭和40年3月30日民事三発第309号民事局第三課長回答))。
譲受人が数名記載されている農地法3条の許可書を添付して、譲受人を単独とする所有権移転登記の申請はすることができない(登記研究448号132頁)。
農地につき、農地法5条の許可書に記載された買主甲及び乙の持分と異なる持分の割合を記載して、所有権移転登記の申請をすることはできない(登記研究431号262頁)。
農地法5条の許可書に数名の譲受人の持分の記載がない場合でも、持分割合を異にする所有権移転登記の申請をすることができる(登記研究506号148頁)。
(→採草放牧地

農地転用 農地を宅地等農地以外のものにすること。
農地の転用をしようとする者は、一定の場合を除き、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければならない(農地法第4条第1項)。
農地の転用目的で、使用収益をする権利を設定し、又は、移転する場合には、一定の場合を除き、都道府県知事または農林水産大臣の許可を受けなければならない(農地法5条1項)。これらの許可を受けなければならない場合に許可を受けないでした行為は、その効力を生じない(農地法第5条第3項、第3条第4項)。

農地法 昭和27年7月15日法律第229号。耕作者の農地の取得を促進し、その権利を保護し、土地の農業上の効率的な利用を図るためその利用関係を調整し、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進とを図ることを目的として定められた法律(農地法第1条)。農地や採草放牧地等の権利変動や転用に関する事項等が規定されている。

農林漁業金融公庫 東京都千代田区大手町一丁目9番3号。農林漁業金融公庫法(昭和27年12月29日法律第355号、平成20年10月1日廃止)に基づき、昭和28年4月1日設立。平成20年10月1日、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年5月25日法律第57号)附則第16条第1項の規定により解散し、農林漁業金融公庫の権利・義務は、(株)日本政策金融公庫に承継された。

暖簾(のれん) (1)店の名などをしるし、店の入り口、軒先などにかけておく布。また、それを模した部屋の仕切りにかけておく布。
(2)店の信用、評価。長期間営業を続けている場合に生ずる企業価値。店や商品の知名度、顧客、営業上のノウハウなど。営業権。
(3)合併会社分割株式交換株式移転、事業の譲受け等組織再編の際、取得した企業または事業の取得価額と、取得した資産および引受けた負債との純額との差額(会社計算規則第11条〜第29条)。組織再編の際に取得した資産および負債の純額が、対価として交付された財産の額を上回る場合に、負債として計上されるものを「負の暖簾」という。

ノンバンク(Non-Bank) 預金の受入れをしない金融機関。リース会社、クレジットカード会社、信販会社、消費者金融会社等がある。(→違法高利業者

ノンリコースローン(Non-Recourse Loan) 「ノンリコース」とは、遡及しないという意味で、債務履行請求の範囲を物的担保である融資対象物件に限定したもの。

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