【登辞林】(登記関連用語集)


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無過失責任 他人に損害を与えた場合に、故意又は過失が無くても、その責任を負うとする考え方。民法では、過失責任を原則としながらも、一定の場合には、無過失責任を認め(民法第717条参照)、又、特別法においても無過失責任が規定されている(国家賠償法(昭和22年10月27日法律第125号)第2条第1項、製造物責任法(平成6年7月1日法律第85号)第3条、鉱業法(昭和25年12月20日法律第289号)第109条等参照)。(→過失責任の原則)(→不法行為

無記名債権 証券化された債権のひとつで、商品券、乗車券等、証券面に債権者の記載がなく、その証券の所持人が権利を行使することができるもの。無記名債権は動産とみなされ(民法第86条第3項)、譲渡は当事者の意思表示で効力が生じ(民法第176条)、第三者への対抗要件は証券の引渡しである(民法第178条)。証券の流通のため、債務者の抗弁は制限され、無記名債権の債務者は、その証書に記載した事項及びその証書の性質から当然に生ずる結果を除き、その無記名債権の譲渡前の債権者に対抗することができた事由をもって善意の譲受人に対抗することができない(民法第472条、第473条)。(→指名債権)(→指図債権)(→即時取得

無記名社債 社債につき社債券が発行される場合に、社債権者の氏名(名称)が券面に記載されないもの。無記名社債の譲渡については、社債原簿への記載又は記録に関する規定は適用されないため、無記名社債の譲渡は、その債券の交付により、第三者対抗要件も備える(会社法第688条第3項)。社債券が発行されている社債の社債権者は、転換することができないこととされている場合を除き、いつでも、無記名社債を記名社債に、又は、記名社債を無記名社債に転換することを請求することができる(会社法第698条、第676条7号)。

無限責任監査法人 監査法人のうち、その社員の全部を無限責任社員とする定款の定めのあるもの(公認会計士法第1条の3第5項)。無限責任監査法人は、その名称中に「監査法人」の文字を使用しなければならないが、有限責任監査法人と異なり、「無限責任」の文字を使用することを要しない(公認会計士法第34条の3、公認会計士法施行規則第18条参照)。監査法人の財産をもってその債務を完済することができないときは、一定の場合を除き、各社員は連帯してその弁済の責任を負う(公認会計士法第34条の10の16第1項)。

無限責任社員 法人の債務について、債権者に対し、直接連帯して無限責任を負う社員。法人の財産をもってその債務を完済することができない場合、法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合(社員が、法人に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)に、弁済の責任を負う。 合名会社合資会社及び無限責任中間法人における無限責任社員がこれにあたる。

無限責任中間法人 中間法人法(平成13年6月15日法律第49号)の規定により設立された中間法人のうち、法人の財産をもってその債務を完済することができないときに、債権者に対し、社員が連帯してその弁済の責任を負うとされるもの。設立に際し基金等の財産的基礎は不要で、定款は公証人の認証を要しない。理事、監事、社員総会等の機関は存在せず、通常業務は社員の過半数により決議し、定款変更その他重要事項の決定は総社員の同意を要する。原則、各社員が代表権を有し、業務の執行をする。無限責任中間法人は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」により、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年6月2日法律第48号)の施行日である平成20年12月1日から起算して1年以内に、一般社団法人への移行の手続きをしない場合は解散したものとみなされる。(→有限責任中間法人

無主物 野生動物や草木・石など、所有者のない動産。所有権の目的となっていない物。無主物は所有の意思をもって占有(無主物先占)することにより、その所有権を取得する(民法第239条第1項)。

無主物先占 無主物を、他人に先んじて所有の意思をもって占有すること。無主物を先占した者は、これによりその所有権を取得する(民法第239条第1項)。無主の不動産については、先占による所有権の取得は認められず、国庫に帰属する(民法第239条第2項)。(→遺失物の拾得)(→埋蔵物の発見

無償契約 契約の一方の当事者が、相手方のする給付に対して、対価的な給付をする義務を負わない契約。贈与使用貸借はこれにあたる。無償契約は、通常、片務契約である。消費貸借委任寄託については、利息又は報酬を支払う約定のない無い限り、民法上、無償契約が原則である。(→有償契約

無尽 (1) 限りが無いこと。
(2) 一定の口数と給付金額とを定め定期に掛金を払込ませ、一口毎に抽選、入札その他類似の方法により、掛金者に対し金銭以外の財産の給付をすること。無尽に類似する方法により金銭以外の財産の給付をするものも同様だが、賭博又は富籤に類似するものは、この限りではない(無尽業法(昭和6年4月1日法律第42号)第1条)。
(3) 無尽講のこと。

(4) 無尽会社のこと。

無尽会社 無尽を業として行う会社。無尽会社は、資本金が5000万円以上の株式会社で、取締役会を置くものでなければならない(無尽業法(昭和6年4月1日法律第42号)第3条)。無尽会社は、その商号中に、無尽の文字、及び、給付をする主たる財産の種類を示す文字を使用することを要し、無尽会社でないものは、その名称又は商号中に、無尽を業とする者であることを示す文字を使用してはならない(無尽業法第4条)。無尽会社には、一部、銀行法(昭和56年6月1日法律第59号)の規定が適用される(無尽業法第9条、第35条の2の3)。
無尽会社の多くは、相互銀行法(昭和26年法律第199号。平成5年廃止。)の施行により、相互銀行に転換した。平成24年1月現在、現存する無尽会社は、日本住宅無尽(株)一社のみ。

無尽講 相互扶助的な金融を目的として、数人が定期に一定額を払込み、各自が順次、抽選またはた入札等により、融資を受けることができるとする契約もしくは団体。頼母子講

無能力者 民法上、単独で有効な法律行為をなし得ない者で、平成12年4月1の民法改正前の「未成年者」「禁治産者」「準禁治産者」を指す。同改正の際、「無能力者」の用語は、「制限行為能力者」に改められた。

無名契約 民法に規定のない「非典型契約」のうち、民法の規定を適用する余地のあまりないもの。法律により契約の名称が与えられていないことから「無名契約」と呼ばれる。旅行契約などはこれにあたると考えられる。民法に規定される典型契約の要素を併せ持つものは、「混合契約」と呼ばれる。(→第三者のためにする契約

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