【登辞林】(登記関連用語集)


[こ]

公図 旧土地台帳附属地図の一般呼称。不動産登記法第14条第1項の地図が備えられていない地域については、代替に「地図に準ずる図面」として法務局に備え付けられている。明治時代に地租徴収のための資料として作成されたものがほとんどで、できるだけ地租を少額ですませようとして、実際よりも小さく作図されることがあったため、その精度は低いと言われている。地図、地図に準ずる図面の双方を含む意味で「公図」と用いられることもある。

公正証書遺言 遺言のうち、公正証書をもってするもので、以下に掲げる方式によることを要する(民法第969条)。
1.証人二人以上の立会いがあること
2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること
3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること
4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名、押印すること。但し、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる
5.公証人が、その証書は1〜4の方式に従って作成したものである旨を付記して、これに署名、押印すること
(→自筆証書遺言)(→秘密証書遺言

公正証書原本不実記載罪 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿、住民票、外国人登録原票等、公正証書の原本又は公正証書の原本として用いられる電磁的記録に、不実の記載又は記録をさせる罪(刑法第157条第1項)。5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられ、未遂も処罰される(刑法第157条第1項、第3項)。
例え不動産の真実の所有者であっても、その登記簿上の名義人である他人の承諾なしに同人からの売渡証書を作成し、自己への所有権移転登記を申請し、登記簿に記載をさせた時は、本罪が成立する。いわゆる「見せ金」による仮装の払込がなされた増資の登記を申請し、登記簿にその旨を記載させたときも、本罪が成立する。いわゆる「中間省略登記」は不実の記載にあたらず、本罪は成立しないとされている。(→私文書偽造罪)(→私文書変造罪)(→偽造私文書行使罪

更生管財人 会社更生法(平成14年12月13日法律第154号)に基づき、更生計画の定め又裁判所の決定に従い、更生会社の事業の経営、財産の管理・処分を行う者。会社更生法の管財人。裁判所が更生開始決定時に選任し、監督する。

公正取引委員会 独占禁止法1条の目的を達成するため、内閣府設置法第49条第3項の規定に基づき設置される組織で、内閣総理大臣の所轄に属する(独占禁止法27条)。公正取引委員会は、私的独占の規制、不当な取引制限の規制、不公正な取引方法の規制、独占的状態に係る規制等に関する事務等を掌る(独占禁止法第27条の2)。

鉱泉地 不動産登記規則第99条に規定されるの土地の地目のひとつで、鉱泉(温泉・冷泉)の湧き出口、及び、その維持に必要な土地。

公訴時効 犯罪行為後、一定期間を経過すると、刑事訴追ができなくなるとする制度。(→刑の時効)(→時効

高等裁判所 裁判所法によって設置される下級裁判所の中で最上位の裁判所(裁判所法第2条第1項)。
全国に8ヶ所(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)に設置されており、支部も6箇所(秋田、金沢、岡山、松江、宮崎、那覇)ある。また、特別の支部として、東京高等裁判所に知的財産高等裁判所が設置されている(下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律(昭和22年4月17日法律第63号)第1表)。
高等裁判所は、次の事項について裁判権を有する(裁判所法16条)。
1.地方裁判所の第一審判決、家庭裁判所の判決及び簡易裁判所の刑事に関する判決に対する控訴
2.訴訟法において特に定める抗告(裁判所法第7条第2項)を除いて、地方裁判所及び家庭裁判所の決定及び命令並びに簡易裁判所の刑事に関する決定及び命令に対する抗告
3.刑事に関するものを除いて、地方裁判所の第二審判決及び簡易裁判所の判決に対する上告
4.内乱等の罪(刑法第77条〜第79条)に係る訴訟の第一審
高等裁判所は、裁判所法に定めるものの外、他の法律において特に定める権限を有する(裁判所法17条)。
高等裁判所は、原則、3人の裁判官(うち1名を裁判長とする)の合議体でその事件を取り扱い、内乱等の罪に係る訴訟については、合議体の裁判官は5人とされる(裁判所法18条)。

高等裁判所長官 裁判官の官名のひとつで、高等裁判所の長たる裁判官(裁判所法第5条第2項)。高等裁判所長官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命し、その任免は、天皇がこれを認証する(裁判所法第40条第1項、第2項)。(→判事)(→判事補)(→簡易裁判所判事

合同会社 会社の構成員である社員全員が、有限責任社員のみから成る会社。社員は、会社債権者に対して出資額を限度として、直接有限責任を負う。社員の出資は、金銭その他の財産に限られる。又、定款に別段の定めがある場合を除き、社員全員が業務執行権及び代表権を有する。合名会社、合資会社と異なり、資本金の額が登記事項であり、資本金の額を減少する場合は、債権者保護手続を要する。

合同行為 社団法人の設立行為等、法律行為のうち、複数の意思表示が同一方向に向けられているもの。契約における意思表示が、当事者互いに相手方に対して向けられるのと異なる。(→単独行為

口頭弁論 (1)民事訴訟法上、法廷において、当事者が口頭によって主張・立証を行うことを指し、裁判所の証拠調べ、訴訟指揮や判決の言い渡しを含む意味で用いることもある。口頭弁論は裁判長が指揮する(民事訴訟法第148条第1項)。裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる(民事訴訟法152条1項)。裁判所は、終結した口頭弁論の再開を命ずることができる(民事訴訟法第153条)。口頭弁論は、書面で準備しなければならない(民事訴訟法第161条第1項)。
(2)刑事訴訟法上、公判期日に、当事者が口頭によって主張・立証を行うことを指し、裁判所の証拠調べ、訴訟指揮や判決の言い渡しを含む意味で用いることもある。判決は、特別の定めがある場合を除き、口頭弁論に基いてしなければならないが、決定又は命令は、口頭弁論に基いてすることを要しない(刑事訴訟法第43条第1項、第2項)。

口頭弁論期日 民事訴訟において、裁判所で口頭による審理手続きが行われる期日。裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる(民事訴訟法149条1項)。
 

口頭弁論調書 裁判所書記官が、口頭弁論について期日ごとに作成した調書(民事訴訟法第160条第1項)。調書の記載について当事者その他の関係人が異議を述べたときは、調書にその旨を記載しなければならない(民事訴訟法第160条第2項)。

公認会計士 他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類(財産目録、貸借対照表、損益計算書等)の監査又は証明をすることを業とする者(公認会計士法(昭和23年7月6日法律第103号)第2条第1項、第1条の3第1項)。
公認会計士試験に合格した者であって、業務補助等の期間が2年以上であり、かつ、実務補修を修了し内閣総理大臣の確認を受けた者は、公認会計士となる資格を有する(公認会計士法第3条、第15条第1項、第16条第1項、第7項)。公認会計士となる資格を有する者が公認会計士となるには、日本公認会計士協会に備える公認会計士名簿に登録を受けなければならない(公認会計士法第17条、第18条)。(→監査法人)(→会計監査人

公売 (1)差し押さえられた国税滞納者の財産を換価する手続き。税務署長は、差押財産を換価するときは、これを公売に付さなければならず、公売は、入札又はせり売りの方法により行われる(国税徴収法(昭和34年4月20日法律第147号)第94条)。買受人は買受代金を納付した時に換価財産を取得し、徴収職員が買受代金を受領したときは、その限度において、滞納者から換価に係る国税を徴収したものとみなされる(国税徴収法第116条)。
税務署長は、換価財産で権利の移転につき登記を要するものについては、不動産登記法その他の法令に別段の定めがある場合を除き、買受人の請求により、その権利の移転の登記を嘱託しなければならず、換価に伴い消滅する権利に係る登記があるときは、あわせてその抹消を嘱託しなければならない(国税徴収法第121条、第125条)。
官庁又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、権利移転の登記、消滅した権利の登記の抹消、滞納処分に関する差押の登記の抹消を登記所に嘱託しなければならない(不動産登記法第115条)。(→滞納処分
(2)広義では、国税徴収法に基づく公売の他、公有財産の売払いや、裁判所における競売等を含む意味で用いることもある。

合筆(ごうひつ) 隣接する複数筆の土地を合わせて1筆の土地とすること。
次に掲げる合筆の登記は、することができない(不動産登記法第41条)。
1.相互に接続していない土地の合筆の登記
2.地目又は地番区域が相互に異なる土地の合筆の登記
3.表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に異なる土地の合筆の登記
4.表題部所有者又は所有権の登記名義人が相互に持分を異にする土地の合筆の登記
5.所有権の登記がない土地と所有権の登記がある土地との合筆の登記
6.所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(法務省令で定める登記がある土地を除く。)の合筆の登記
6の法務省令で定める登記とは、次のものである(不動産登記規則第105条)。
1.承役地についてする地役権の登記
2.担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付年月日、受付番号、登記原因及びその日付が同一のもの
3.信託の登記であって、信託登記の登記事項(不動産登記法第97条第1項各号)が同一のもの
4.鉱害賠償登録に関する登記で登録番号が同一のもの(鉱害賠償登録令(昭和30年政令第27号)第26条、鉱害賠償登録規則 (昭和30年法務省令第47号)第2条)
合筆の登記には、登録免許税が課せられ、その税額は、合筆後の土地1筆につき1000円である。

交付要求 滞納者の財産につき、滞納処分、強制執行、担保権の実行による競売、企業担保権の実行手続、破産手続等の強制換価手続が開始された場合に、税務署長が執行機関に対し、その滞納に係る税の交付を要求すること(国税徴収法第82条第1項、第2条第12号)。(→参加差押

(株)神戸銀行 昭和11年12月12日設立。昭和48年10月1日、(株)太陽神戸銀行へ商号変更。昭和48年11月29日、(株)太陽銀行を合併。

合名会社 会社の構成員である社員全員が、会社の債権者に対して、直接、無限、連帯責任を負う無限責任社員だけから成る会社。社員の出資は、金銭その他の財産に限らず、信用や労務の出資も認められる。定款に別段の定めがある場合を除き、社員全員が業務執行権及び代表権を有する。(→合同会社)(→合資会社

合有 (1)民法上の共同所有(広義の共有)の一類型で、各共同所有者は、持分を有するが、自由に処分することができず、分割請求もできない。民法の組合財産は、条文上「共有」の文言が使用されているが(民法第668条)、解釈上「合有」であるとされている。(→総有
(2)信託法上、受託者が複数ある場合に生じる形態で、持分の概念はない(信託法(平成18年12月15日法律第108号)第79条参照)。受託者が複数ある場合の信託を原因とする所有権移転の登記の目的は、「所有権移転(合有)」とする。

公有水面 公有水面埋立法(大正10年4月9日法律第57号)において、河、海、湖、沼その他の公共の用に供する水流又は水面で国の所有に属するもの。公有水面の埋立をしようとするものは、都道府県知事の免許を受けることを要する(公有水面埋立法第2条)。

公有水面埋立地 公有水面埋立法(大正10年4月9日法律第57号)の規定に基づき、河、海、湖、沼その他の公共の用に供する水流又は水面で国の所有に属するものを埋立た土地。埋立地の所有権を取得した者又はその一般承継人が、所有権の移転又は地上権賃借権その他の使用収益を目的とする権利を設定しようとするときは、権利を取得する者が国又は公共団体である等一定の場合を除き、都道府県知事の埋立に関する工事の竣功の認可の告示の日から起算して10年間は、国土交通省令(公有水面埋立法施行規則(昭和49年3月18日運輸省・建設省令第1号)の定めるところにより、都道府県知事の許可を受けることを要する(公有水面埋立法第27条第1項、第22条第2項)。告示した用途と異なる用途に供しようとする時に関しても、同様の規定がある(公有水面埋立法第29条第1項)。
公有水面埋立地につき、公有水面埋立法第27条の処分の制限の登記がされている場合でも、その後、売買による所有権移転登記がされ、さらに第三者へ所有権移転登記を申請するには、埋立免許者の許可書の添付を要しない(昭和43年8月1日民事三発第637号民事局第三課長回答)。

公有水面埋立法 大正10年4月9日法律第57号。河、海、湖、沼その他の公共の用に供する水流又は水面で国の所有に属するものを埋立する際の免許等に関して規定した法律。

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