【登辞林】(登記関連用語集)


[き]

議員立法 国会議員の法律案の発議によりされる立法方法、又はそれにより制定された法律。内閣による法案提出と区別するための一般的呼称。(国会法(昭和22年4月30日法律第79号)第50条の2、第54条の4、第56条第1項等参照。)

帰化 自らの意思によって国籍を取得すること(国籍法(昭和25年5月4日法律第147号)第2条参照)。日本においては、日本国民でない者が、日本の国籍を取得すること(国籍法第4条第1項)。帰化をするには、法務大臣の許可を得ることを要し、引き続き5年以上日本に住所を有すること、20歳以上で本国法によって行為能力を有すること、素行が善良であること、などの要件を満たさなければならない(国籍法第4条第2項、第5条第1項)。この許可の要件は、一定の場合に緩和される(国籍法第5条第2項、第6条〜第8条)。法務大臣が帰化を許可したときは、官報に告示され、帰化は、この告示の日から効力を生じる(国籍法第10条)。日本国民が、外国の国籍を取得又は選択したときは、日本の国籍を失う(国籍法第11条)。帰化の許可の申請は、帰化をしようとする者の住所地を管轄する法務局又は地方法務局の長を経由してする(国籍法施行規則(昭和59年11月1日法務省令第39号)第2条第1項)

機械器具目録(→工場抵当法第三条目録

企業会計基準委員会 財団法人財務会計基準機構の内部組織で、日本の会計基準を設定している団体。

企業担保権区 株式会社の登記記録において、企業担保権に関する事項が登記される区。

基金 財産的基礎となる資金。各種法律に規定があり(保険業法(平成7年6月7日法律第105号)第6条等参照)、法人格が付与されているものもある(国民年金法(昭和34年4月16日法律第141号)第117条、厚生年金保険法(昭和29年5月19日法律第115号)第108条等)。中間法人法においては、有限責任中間法人に拠出された財産であって、当該有限責任中間法人が拠出者に対して返還義務を負うものをいう(中間法人法(平成13年6月15日法律第49号)第2条第4号)。

議決権制限株式 株主総会において議決権を行使することができる事項について、制限がある株式。株主総会のすべての決議事項について議決権がないとする株式や、一定の事項についてのみ議決権を有するものとする株式を発行することができる。ただし、公開会社では、議決権制限株式の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の2分の1以下にするための必要な措置をとらなければならない(会社法第115条)。議決権制限株式を発行するには、株主総会において議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件を定めるときはその条件及び発行可能種類株式総数を定款で定めることを要する(会社法第108条第2項第3号)。(→種類株式)(→優先株式)(→劣後株式)(→譲渡制限株式)(→取得請求権付株式)(→取得条項付株式)(→全部取得条項付種類株式)(→拒否権付株式)(→役員選任権付株式

期限の利益 期限があることにより、その到来まで当事者が受けられる利益。期限の利益は、債務者のために定めたものと推定される(民法第136条第1項)が、債権者のためであったり、債権者・債務者双方のためであることもある。
期限の利益は放棄することができるが、相手方の利益を害することはできない(民法第136条第2項)。利息付金銭消費貸借や定期預金などは、期限までの利息を支払わなければ、期限の利益を放棄することができない。
債務者は、1.破産手続開始の決定を受けたとき、2.担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき、3.担保を供する義務を負う場合において、これを供しないときは、期限の利益を喪失する(民法第137条)。実際の取引においては、一定の事由に該当すると期限の利益を喪失するとする、期限の利益喪失約款が付されていることが多い。

危険負担 双務契約の当事者の責めに帰することができない事由によって、一方の債務の履行が不能になった場合に、他方の債務は消滅するのか(損失はどちらが負担するのか)、という問題。
建物の売買契約の締結後、引き渡しまでの間に、建物が火事で焼失してしまった場合に、その損失は、買主(建物の引渡し債務の債権者)が負担し、買主は、売買代金を支払わなければならない、とするのを「債権者主義」、損失は、売主(建物の引渡し債務の債務者)が負担し、買主は売買代金を支払うことを要しない、とするのを「債務者主義」という。
民法は、債務者主義(民法第536条)を原則とし、特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合においては、例外として、債権者主義とすると規定したが、不動産の売買等、実際の取引では、むしろ、この例外として規定されているものの方が問題となり、実質は、債権者主義が原則とされているのに等しく、この民法の規定のままでは、実際の取引になじまないため、売買等においては、その危険は、債務者たる売主の負担とする特約をするのが一般的である。

期限前の弁済 弁済期にない債務の弁済。錯誤によるときを除き、債務者が弁済期にない債務の弁済として給付をしたときは、その給付したものの返還を請求できない(民法第706条)。特殊な不当利得である「(広義の)非債弁済」のひとつとされているが、債務自体は存在するので、正確には、非債弁済でないとも言われている。 (→他人の債務の弁済

擬似外国会社 日本に本店を置き、又は、日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社。擬似外国会社は、日本において取引を継続してすることができない(会社法第821条第1項)。
この擬似外国会社の規定については、会社法制定当時、外資系金融機関から強い批判があり、会社法が可決した参議院本会議の際、次の附帯決議がなされている。
「(15) 外国会社による我が国への投資が、我が国経済に対してこれまで果してきた役割の重要性及び当該役割が今後も引き続き不可欠なものとして期待される点にかんがみ、会社法第821条に関して、その法的確実性を担保するために、次の諸点について、適切な措置を講ずること。
1.同条は、外国会社を利用した日本の会社法制の脱法行為を禁止する趣旨の規定であり、既存の外国会社及び今後の我が国に対する外国会社を通じた投資に何ら悪影響を与えるものではないことについて、周知徹底を図ること。
2.同条は、外国の事業体に対し、特定の形態を制限し又は要求する趣旨のものではないことについて、周知徹底を図ること。
(16) 会社法第821条については、本法施行後における外国会社に与える影響を踏まえ、必要に応じ、見直しを検討すること。」

擬似ストック・オプション 一定の期間内に所定の価格で、所定の株式を取得することができる権利(ストック・オプション)を付与するのと同様の目的を達するため、ストック・オプションを目的としていない制度を利用したもの。分離型の新株引受権付社債を利用したものがその典型で、会社は、新株引受権付社債を発行した後、新株引受権証券を買い戻したうえで、取締役や使用人に譲渡をすることにより、ストック・オプションを付与するのと同様の目的を達成し、資金調達目的ではないため、社債部分は、直ちに償還・消却されていた。

機種依存文字 機種によって、文字コードが異なったり、文字コードが存在しない文字。文字化けの原因になりうる。環境依存文字

基準日 株式会社は、一定の日における株主名簿に記載又は記録されている株主をもって、権利行使のできる株主とする旨を定めることができるが(会社法第124条)、その一定の日。基準日を定める場合は、行使することができる権利の内容も定めなければならない。基準日及び行使することができる権利の内容は、基準日の2週間前までに公告をする必要があるが、定款に当該基準日について定めがあるときは、公告は不要となる。議決権の行使、剰余金の配当、株主割当てによる募集株式の発行等の他、株式分割等の際に利用することができる。

擬制自白 民事訴訟法第159条の規定による、民事訴訟の口頭弁論において、当事者が相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合に、その事実を自白したものとみなされる取扱い。弁論の全趣旨により、その事実を争ったものと認められる場合は除かれる。当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合についても擬制自白が成立するが、その当事者が公示送達による呼出しを受けたものであるときは、擬制自白が成立しない。

擬制商人 商行為を行うことを業とする者ではないが、商人とみなされる者。店舗等によって、物品(原始取得した農産物、海産物等)を販売することを業とする者、鉱業を営む者は、商行為を行うことを業としない者であっても、商人とみなされる(商法第4条2項)。商法上、擬制商人の行為は商行為であるとする規定が存在せず、「準商行為」として商行為に関する規定が準用される、とする解釈と、商行為に関する規定は準用されず、民法の規定が適用される、とする解釈がある。旧商法において、営利を目的とする社団で、商行為をすることを業とはしないが、旧商法の規定に従い設立したもの(民事会社)も擬制商人のひとつとされていたが(旧商法第4条第2項、第52条第2項参照)、会社法においては、会社がその事業としてする行為及びその事業のためにする行為は商行為であるとされたので、会社はすべて「商人(固有の商人)」であるではない(会社法5条、商法第4条第1項)。

偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律 平成17年8月10日法律第94号。「預金者保護法」と略される。偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等による被害が多数発生していることにかんがみ、これらのカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等に関する民法の特例等を定めた法律。これらのカード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のための措置等を講じ、預貯金者の保護を図ること等を目的とする。対象となる金融機関は、銀行、信用金庫の他、預金者保護法第2条1項に定めるものである。真正なカード等を用いて行われるものを除き、民法第478条の規定は、カード等その他これに類似するものを用いて行われる機械式預貯金払戻し及び機械式金銭借入れについては、適用しないとされる(預金者保護法第3条)。預貯金者は、一定の要件のもと、不正に払い戻された預貯金につき、金融機関に対して補填を求めることができる。

偽造私文書行使罪 偽造又は変造された権利、義務若しくは事実証明に関する文書又は図画を行使すること(刑法第161条第1項)。有印私文書の場合は、3月以上5年以下の懲役に処せられ、無印私文書の場合は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられる。未遂の場合も処罰される(刑法第161条2項)。行使とは、真正の文書として使用することであり、内容を一般人が認識しうる状態に置けば既遂である。私文書を偽造し、それを偽造者が行使した場合は、私文書偽造罪と本罪は牽連犯の関係になる。(→私文書偽造罪)(→私文書変造罪)(→公正証書原本不実記載罪

寄託 民法上、当事者の一方が相手方のために保管することを約してある物を受け取ることにより、効力が生ずる契約。保管させる者を寄託者、保管する者を受寄者という。要物契約であり、又、原則、無償契約片務契約であるが、商法上の寄託は、有償となる(商法第502条第10号、第512条)。無償の場合、受寄者は自己の財産に対するのと同一の注意をもって寄託物を保管すれば足りるが、有償の場合は、善良な管理者の注意義務を負い、商法上の寄託は、無償の場合でも善良な管理者の注意義務を負う(商法第593条)。寄託者は、いつでも寄託物の返還の請求をすることができるが、返還の時期を定めた場合、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還することができない。商法上の寄託は、商人がその営業の範囲内に於いて、相手方のために物品を保管するものであり、旅館・飲食店・浴場を経営する者、倉庫営業者(他人のために物品を倉庫に保管することを業とする者、商法第597条)等が挙げられる。
供託の法律的性質については、第三者のためにする寄託契約ではあるが、第三者の受益の意思表示は要しないと解されている。(→第三者のためにする契約
特殊な寄託として、民法上、受寄者が寄託物を消費することのできる「消費寄託」があり、また、代替性のある物につき、同種の物と混合して保管し、同量の物を返還すれば良い「混蔵寄託」と呼ばれるものがある。
銀行法(昭和56年6月1日法律第59号)第10条第2項第10号に規定する「有価証券、貴金属その他の物品の保護預り」は、通常、有償の寄託契約と解されるが、銀行が窓口で販売した有価証券等で個性が問題とならないような場合は、混蔵寄託に当たることもある。貸金庫(契約)は、貸金庫に保管すべき物品の寄託ではなく、貸金庫自体の賃貸借であると解されている。

危難失踪 利害関係人の請求に基づき、家庭裁判所により失踪宣告がなされる場合のうち、戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中にあった者、その他の死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、その危難が去った後1年間明かでない場合(民法第30条第2項)。失踪の宣告を受けた者は、危難が去った時に死亡したものとみなされる(民法第31条)。(→普通失踪

寄附行為 民法財団法人、医療法人財団、学校法人等の設立を目的として、財産の提供、規則の制定等をする行為。又は、その制定された規則、あるいはその規則を記載した書面。後者の意味では、会社や民法社団法人での定款に相当する。寄附行為においては、目的、名称、事務所の所在地、資産又は資産及び会計に関する規定、理事等役員に関する規定を置くこととされている(民法第39条、医療法(昭和23年7月30日法律第205号)第44条、私立学校法(昭和24年12月15日法律第270号)第30条)。財団法人には、法人を構成する社員が存在しないため、社員に関する規定は置かれない。学校法人は財団法人ではないが、財団法人的性質を有するため、当該法人の規則も「寄附行為」とされた(私立学校法附則(昭和24年12月15日法律第270号)第2項参照)。民法上、寄附行為は生前処分によるほか、遺言によってもすることができ、生前処分による場合は、贈与の規定が、遺言による場合は、遺贈に関する規定が、その性質に反しない限り準用される(民法第41条)。
財団法人の寄附行為による所有権移転登記の登記原因は、「寄附行為」とする(登記研究442号83頁)。

記名押印 書類の作成者や当事者、関与者を明らかにするため、その者が当該書類に氏名を記し、印章を押すこと。記名捺印は、各種法律により、署名にかわるものとされている(商法第32条、会社法第26条、第216条、第369条、第393条、第575条、手形法第82条、小切手法第67条等参照。)。記名捺印ともいう。

記名社債 社債につき社債券が発行される場合に、社債権者の氏名(名称)が券面に記載されるもの。記名社債の譲渡は、その社債を取得した者の住所・氏名(名称)を社債原簿に記載又は記録しなければ、社債発行会社に対抗することができない(会社法第688条第2項)。社債券が発行されている社債の社債権者は、転換することができないこととされている場合を除き、いつでも、記名社債を無記名社債に、又は、無記名社債を記名社債に転換することを請求することができる(会社法第698条、第676条第7号)。

記名捺印(→記名押印)

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